『かやま印』の甘酒
- 甘酒の味を決める重要な要素の一つとして米麹が挙げられます。米麹はお酒を造る原料でもあり、我々酒蔵は常により良い米麹造りに情熱を燃やしています。お酒造りで培った米麹造りの技術をそのまま甘酒にも投入しています。
米麹は一般的に約48時間かけて作られます。米を洗い、蒸し、冷まし、麹菌を撒き、保温し、48時間かけてじっくりと菌を育成していきます。出来上がった米麹にはふわふわの菌糸が生え、その菌にはたっぷりと酵素が含まれています。この酵素がお米のデンプンを分解しブドウ糖へと分解することで甘酒の甘さが生まれるのです。

①蒸したお米に種菌を振りかけ麹米を作ります。

②出来上がった米麹は、発酵してこのようにフワフワ

③米麹は、杜氏の手によって優しくほぐしていきます。

④手作業で行われる麹造りの過程はとても重要で、この麹づくりが甘酒の命となります。
あままとお酒とカヤマ醸造所
- 米麹甘酒「あまま」はカヤマ醸造所で作っています。
- カヤマ醸造所で造るお酒は、お酒の元の醪(もろみ)を濾(こ)すことなく、そのままで提供しています。その上自然発砲(炭酸発酵)させているのでシャンパンのような力強い発砲性と細かい手作業で造られた独特の旨味風味で、出荷以来多くの方々から力強い支援をいただいています。
- お酒の好きな人には、一家に一本は置いておきたい商品に出来上がっています。
- 2017年春、農林水産省主催で開かれた試飲会に各国の大使・大臣関係者が招かれ、そこで純米発泡酒カヤマを飲んだ大使達から絶賛の言葉をいただきました。また同じ2017年春にはモンテセレクションで金賞を受賞するという快挙を遂げました。
- 8月には香港で開催されたFood Expo 香港に出店しNHKのニュースでもカヤマが紹介されました。場に来られた各国の関係者からは味と品質に対してお褒めの言葉もいただきました。
- 日本食ブームの折、海外からの問い合わせも多くあります。その分国内の補充が手薄になっていますが、現在株式会社AsaTがインターネットを通じて販売しています。
カヤマ醸造所
- カヤマ醸造所は高品質のお酒を追及してきましたが、同時に歴史も古く日本人に馴染んだお酒は栄養が豊富であることから、栄養商品として多くの人に知ってもらうため、お酒を通して健康維持に向けた酒の知識の普及を図ってきました。
- 甘酒は、米麹から蒸米を発酵させて造るノンアルコールの飲料です。お酒は、この上に酵母を入れてアルコール発酵させたものです。お酒は甘酒同様栄養豊富ですので、適量のアルコールを飲むうちには立派な健康飲料です。したがって、お酒は適量を飲んで心身共に楽しんでもらうものだと考えています。長生きをしている老人達の飲酒率は高いことをご存知でしょうか。栄養補給とストレス解消に役立っているのです。
- ここで、米麹甘酒造りととお酒造りの流れを見てみましょう。
- お酒を造るにあたって、もともと米には糖分は含まれていませんので米のデンプンを糖分に変える糖化が必要で、その糖化の働きをするのが麹です。麹にはデンプンやタンパク質を分解する様々な酵素が含まれています。
- 米麹で蒸米のデンプンを溶解・糖化させて様々な栄養素を造ります。これがいわゆる甘酒です。このデンプンからの糖分(グルコース)を原料として、酵母がアルコール発酵(水と二酸化炭素とエチルアルコールに分解)してできたのがお酒です。
- つまり、米麹甘酒をもとに、その栄養素と酵素で醪(もろみ)の酵母の増殖と発酵促進に必要なビタミンなどの栄養を提供し、醗酵してアルコールができ酒となります。そして麹菌が作り出す成分(アミノ酸)が出来上がった酒の味に特徴を出すことになります。
- 酒造りに果たす甘酒のすごさが理解できたでしょうか。米麹で造る甘酒は、お酒造りのための栄養提供者なのです。お酒には色々な栄養が含まれていることはよく知られていますが、そのもとになっているのが米麹甘酒であることは是非知ってもらいたいことです。
カヤマ醸造所の試み
- 「日本酒の科学」(和田美代子著 講談社刊 )という本があります。そこに出ている酒の効用を紹介します。
- 「日本酒に含まれる微量成分は糖質、アミノ酸、有機酸、ビタミン、ミネラルなど120種類以上にもなります。麹菌や酵母の作用で作り出された、もともと米にはない生理活性物質もあります。」
- 「特に身体のタンパク質構成成分だけでなく、細胞内や血液中に遊離した状態で存在し,骨格筋の保持など身体に有益な生理活性をもたらすアミノ酸(とりわけ体内で合成できず、食物から摂取しなければならない必須アミノ酸9種)がバランスよく豊富に含まれているのが日本酒の大きな特色です。アミノ酸はウイスキーやブランデー、焼酎などには含まれていません。」
- 「アミノ酸は疲労回復にも役立ちます。」「アミノ酸が持つうまみ成分(グリシン、アラニンなど)は、迷走神経を介して胃液と膵液を分泌し、食欲を増進させます。グルタミン酸は胃や腸管、肝臓を守り、脳の機能も高めます。」
- 「さらに近年、アミノ酸や糖類が心臓病、がん、骨粗相症、老化、認知症などの発生リスクを低下させることも明らかになっています。適量の飲酒は高血圧予防にも効果があります。体内には血圧を上げる働きのあるアンギオテンシン変換酵素という物質があるのですが、日本酒にはその働きを抑えるペプチドが多く含まれています。がん細胞の萎縮・懐死を示すデーターも明らかになっています。また日本酒は動脈硬化などを防ぐ善玉コレステロールも増やすことがわかっています。」
- などなど、酒の効用はとてもたくさんあるのですが、これも酵母を助け発酵への栄養補給を行った米麹の力なくしてはありえないことです。
日本酒の効用
- ここで趣を変え、江戸町民の粋な食生活を見てみましょう。
- そば屋に入ると「ざる一枚お燗付きで」という言葉が飛び交います。
- これはそばが出てくるまでの待ち時間にお酒を一杯飲むことで「そば前」といいます。
- 当時は、そばは「挽きたて、打ちたて、茹でたて」が当たり前で出来上がるのに時間がかかります。その待ち時間に一杯お酒を飲むのです。そば屋の酒の肴は日本酒と合う出し巻き卵、板わさ、焼き海苔、そば味噌など直ぐできる肴です。酒を飲み終えたら出てきたそばをのどに流してすぐに出る。これが江戸の粋です。 短気で粋な江戸人には、生活のどこかに酒が付いてまわるのですね。 酒を飲めない庶民は甘酒ですね。それも粋ですよ。