<末病その2>中国では2000年前から、意識されていた!?

末病とは「自覚症状はないが、検査で異常がある状態」と「自覚症状はあるが、検査では異常がない状態」に分かれ、半健康状態であると前回の記事でご紹介しました。

今回は「末病」について歴史を調べてみたところ、2000年も前の中国へと遡ることが分かりました。
歴史や三国志が好きな方はワクワクするかもしれません。

 

<2000年前の中国の思想・哲学に登場する末病>

「未病」という言葉が最初に記された医療文献は2000年前の「黄帝内経」です。
「聖人は既病を治すのではなく、未病を治す」という言葉が載っています。

これは、病気になる前に病気の元を断つことが医者の使命であるという事。
この考え方は現代でも中国の医学、中医学として取り入れられています。
黄帝内経は陰陽五行説に基づいた中国の思想・哲学なんですね。

黄帝内経は病気だけを問題にするのではなく、その人の生活環境のすべて、個性や感情、習慣や食事、そして住んでいる土地や季節を総体的に把握し治療にあたるというもので、健康で一生を過ごすための医療のあり方を説いています。

 

<未病を治すとは、病気にならない体づくりを目指すこと>

現代医学が勧めている「生活の質の向上」や、政府が推進している「健康増進」計画と同じことが、2000年も前の中国でも行われていたようです。
これは増える高齢者と老人医療の費用拡大を抑える目的というより、老若男女が問わず健康でいるための対策と捉えたほうが理解しやすいでしょう。

ほかにも、古代ギリシアの医師であるヒポクラテスも病気と健康に関して、しっかりとした哲学を持っていました。昔の人のほうが病気と健康について真摯に考えていたのかもしれません。

 

<中医学へと繋がる 漢方や気功も考え方は同じ>

黄帝内経の考えはその後、中医学の中でそれぞれの領域を専門化させていきます。
漢方や鍼灸そして気功(引導按摩)がそれにあたります。
そのベースになっているのは、人には自然治癒力があり医者の仕事はその治癒力を回復させ高めることにあるということなんですね。

漢方も鍼灸も病気を治すのではなく治癒力を高めるためです。気功も同じです。
漢方は生薬の服用で弱っている臓器を活性化させ、体にある経路の流れを良くし気の流れを整え、鍼灸は経路にあるツボを刺激して気の流れを整えます。
気功は太極拳でおなじみですが、経路の詰まりを取り除き、自分で気の流れを調整するものです。

 

鍼灸は三国志にも関係している?!>

黄帝内経の2000年前には外科手術や麻酔もあったと伝えられていますが、手術は儒教の教えに反するものとして禁止したため、西洋医術を導入するまで行われなかったようです。
2000年前の外科手術や麻酔の使用に関しては、三国志で有名な曹操の典医で天才と呼ばれた華陀(カダ)が有名です。彼は薬学や鍼灸にも非凡な才能を発揮したと伝えられています。

 

<公的な医療として現代に繋がっている>

そして今でも、漢方や鍼灸や気功は現在の中国の病院でも取り入れられており、漢方の薬種は日本の厚生労省の認可では210種類ですが中国では13260種類772科目にも及びます。
病院には気功科が置かれており、公的な医療として認められています。

また、オーストラリアの氷河の中から発見された、ヨーロッパ最古のミイラとされているアイスマンに彫られていた入れ墨はみな直線で、中国でいう経絡とツボによく似ているという論文が出されています。
その真偽は別にして、アイスマンの生きていた5200年前にも経絡とツボの思想があったとすれば、人類の知恵とはすごいものだと思えますね。

それに比べて飽食の現代、未病におびえて暮らす私たちの食生活と健康に、歴史の皮肉を感じるのは私だけでしょうか?日ごろから健康を意識し、バランスのよい食事を心がけ、適度な運動を取り入れていきたいですね。

<末病その2>中国では2000年前から、意識されていた!?

 

 

 

 

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